- 「Fateシリーズ」
- 「艦隊これくしょん」
- 「アイドルマスター」
- 「東方project」
など、人気アニメキャラクターのフィギュアを中心に、缶バッジ、チャーム、キーホルダー、マイクロファイバータオルなどグッズ類の販売業を行っていた、アクアマリンが2020年8月3日に東京地裁に自己破産申請をしました。
アクアマリンの商品を見てみるとわかるのですが、ファンからの評価も高く誠実な販売をしているイメージがありました。
しかし、それでも自己破産に追い込まれてしまった理由は一体何なのか?調べていくうちにフィギュア業界が非常に苦しい状況に立たされる事情が見えてきました。
この記事ではなぜ、2017年9月期には年売上高約5億700万円を計上していたアクアマリンさんが、わずか3年ちょっとで自己破産しなくてはらなかったのかその理由についてまとめています。
目次
アクアマリンが扱っていたフィギュアとはどんなものだった?
「Fateシリーズ」とは
元々はパソコンゲームFate/stay nightを始めとした作品群を指します。
アニメや映画など様々なメディアに展開されており、聖杯をめぐる魔術師たちによる戦いを描いています。
ファンの方からも破産に対して残念な声も上がっています。
アクアマリン破産かぁ…ここのFateフィギュア出来良かったんだけどなぁ。ネロ今でも気に入ってるわ pic.twitter.com/BJ5AcB82EG
— ソラ (@sora3286) August 6, 2020
アクアマリンではフィギュアだけでなくプラモデルも出していたので、破産によって楽しみにしてい方もいらしゃします。
アクアマリン倒産でこのブリュンヒルトのプラモが永遠に出ない事に…
発売延期しても楽しみにしてたんだけど… pic.twitter.com/lFyIPQAQFi
— キャップ大佐 (@sw_fate555) August 5, 2020
アクアマリンが自己破産しなければならなかった5つの理由
- 同業他社との競合
- 製造拠点が中国
- 得意先の営業自粛
- イベントの中止
- 債務超過
同業他社との競合
日本にはフィギュア製造会社は多数あります。
例えば「アルター」「コトブキヤ」「アニプレックス」「ホビージャパン」「マックスファクトリー」等々メーカー数を挙げたらきりがないのですが、美少女フィギュアやアニメフィギュア、スケールフィギュアなどカテゴリーがあり、それぞれメーカーによって特徴があります。
アクアマリンが扱っていたFateシリーズは売上高 115億0000万円(2012年9月期)もある大手フィギュア関連メーカーの「グッドスマイルカンパニー(GSC)」なども取り扱っておりますが、中小規模ではありましたが、商品の出来の良さなどから多くのファンはいました。
自社ECサイトでの販売なども行っていましたが、力及ばずだったようです。
残念。。。
製造拠点が中国
原型は自社で製造し、生産は国内でも行っていましたが、拠点は中国の協力工場です。
アクアマリンに限らずフィギュア製造は他者でも行っていますが、2020年1月、新型コロナウイルスの影響で工場の稼働低下による納期の延期が発生しました。
こういった中国の工場で生産されている商品を扱っている商売をされている方ならわかると思いますが、コロナに限らず災害やなんらかの原因によって船が出ず、輸入が送れることはままあります。
ただ、生産ラインが動いていればこのような事態は問題ないのですが、生産ラインが止まってしまうと中国の工場に依存している業種は対応ができません。
今年の1月~5月くらいにかけてのマスクが良い例ですね。
得意先の営業自粛
アクアマリンの販売先は主に問屋や小売店約30社、自社ECサイト、イベントでの販売などだったわけですが、緊急事態宣言による各業種の営業自粛が影響し、受注の減少が倒産の一因になっています。
中間業者としては製造ラインがストップし、小売店等からの受注が減少してしまったら、売上も減少するのは必然です。
今、酒類を中心に提供する夜の街の飲食店への営業自粛が求められていますが、お店側にって営業自粛とは物やサービスを売る時間、機会を減らすことであり、単純に売り上げを減らしてくださいと言われているのと同じです。
しかし、当事者にとっては死活問題でありアクアマリンの倒産は典型的なモデルです。
イベントの中止
東京ビッグサイトなど大規模会場で行われる「AnimeJapan」 「コミックマーケット」「ワンダーフェスティバル」などのイベントにも出店していたアクアマリンですが、ご存知のように新型コロナウイルスの影響で2020年は中止になっています。
イベントでのグッズ販売、いわゆる物販での収益は莫大であり、これらが全て無くなるのは死活問題に発展します。
アニメ・コミック業界に限らずアーティストのコンサート、ライブでの物販などもそうです。
こうした大規模のイベントにはたくさんの業種の人が携わります。
設備、企画、広告、装飾、販売、警備、清掃などなど多業種に関わる人の仕事が無くなりアクアマリンもそのうちの一社に該当します。
債務超過
2019年9月期には赤字に転じています。
つまり、これはコロナに関係なく借金があったということです。
アクアマリンは2017年9月期には年間売上高は約5億700万円を計上していますが、今回の自己破産により債権者85名に対し約4億6490万円の負債があります。
つまり、決して儲かっていたわけではないということです。
やはり大手フィギュア製造メーカーなど同業他社との競合という面で、新興企業であったアクアマリンが商品の強みだけで勝ち抜いていくのは至難の業だったと思われます。
自己破産しなければならない最大の理由はコロナによってイベント開催など先の見通しが全く立たない点です。
収入が見込めない中で家賃や従業金のお給料など固定費だけが消えていくのでは、資金繰りも限界になりますね。
まとめ
やはり皆さん、一様にショックのもようです。
#アクアマリン さんの倒産の知らせ。ショック。#銀英伝 の #ブリュンヒルト と、その次の赤い戦艦の商品のパッケージイラストも描かせていただきました。ありがとうございました。
いつか、皆さんのお目にかける機会があれば良いのだけど…。(><)悲しいなぁ。 pic.twitter.com/9KhSZTGZyB
— 麻宮騎亜™@KIA_ASAMIYA 【太陽系SF冒険大全 #スペオペ!】単行本1,2巻発売中! (@kia_asamiya) August 5, 2020
ヤフーニュースにも取り上げられるほど名の知れた企業の倒産は、あまりにも衝撃が大きいです。
アクアマリンはフィギュア関連グッズ等の販売企業ですが、昨日のニュースではアパレル大手のワールドがオゾック(OZOC)やアクアガール(aquagirl)のブランド終了と、それに伴う希望退職者200名を募っています。
JALやANAなどの航空業界やTOYOTA、日産などの自動車業界など幅広い業界で減収減益になっている中で、アクアマリンのような良いものを誠実に販売している中小企業が倒産しなければならないのは、なんとも悲しいと言わざるを得ません。
コロナウイルスが多くの人の人生を変えてしまっているのはとてもつらい状況です。