今、日本の伝統工芸品である南部鉄器
が中国人の間で大人気とのこと。
2010年に行われた上海万博で岩手県
から出展されたことがきっかけで今
東京銀座にあるラオックス銀座本店
では数十万もする南部鉄器が飛ぶように
売れており品薄だそうです。
では、なぜ今日本の伝統工芸品である
南部鉄器が中国人の間で人気なのでしょうか?
今回は南部鉄器についてお話したいと思います。
南部鉄器とは?
南部鉄器とは岩手県の奥州市、盛岡市
で作られてきた鉄器のこと。
釜や鉄瓶は伝統工芸品に指定されています。
砂鉄や木炭、粘土などの原材料がこの地域で
豊富に産出されたことから生産地として栄えてきました。
人気の理由は3つ
では、冒頭でもお話ししたように
なぜ今、中国人に南部鉄器が人気
なのかというと
まず1つめの理由は
中国の飲料水事情と健康志向
中国に限りませんが水は
水道水であっても生水の状態
で飲むことはなく
必ず沸かして飲みます。
また南部鉄器によって沸かしたお湯
が鉄分を含んでいることから健康に
よいのではないかという健康志向も
あり、南部鉄器は一石二鳥であると
考えられているからだそうです。
南部鉄器で沸かしたお湯には鉄分が微量
ではありますがたしかに溶け出すようで
それが貧血予防、アルツハイマー痴呆症予防
にもなるようです。
参考記事
ビンテージものプーアル茶の高騰
2つめ理由が近年中国人富裕層の間で
投機対象としてビンテージものの
プーアル茶が高騰しており
鉄分で沸かすとプーアル茶の雑味が取れる
といことから南部鉄器に注目が
あつまっているようです。
プーアル茶にはコウジカビで発酵
させる熟茶と何年も寝かせて熟成
させてるつくる生茶がありワイン同様
数十年熟成されたビンテージものは
希少価値があり高値で取引されています。
ハンドメイド(手づくり)への憧れ
3つめの理由です。
18世紀にイギリスでおこった
アーツ・アンド・クラフツ運動
は産業革命により大量生産された
既製品への反発から職人による
ハンドメイド(手づくり)品に人気
が集まりました。
それと同様に13億人もの人口を抱える
中国では大量生産が当たり前の現実
があります。
したがって富裕層のあいだでは
伝統工芸品に指定されている
ハンドメイドの南部鉄器は職人
によって風合いが異なるため
価値あるものとして珍重されています。
また、南部鉄器にはあられ模様に
代表されるデザインがあり
ジャポニズム(日本趣味)
のある中国人にとっては
南部鉄器の美的特徴は“ぶつぶつ感”は
たまらないのでしょう。
南部鉄器はクールジャパン
クールジャパンとはアニメや伝統芸能など
日本に関する事柄が海外で評価される現象
を指しますが
南部鉄器もクールジャパンの一つとして
認められています。その証拠に南部鉄器
の売り上げの半分以上は海外輸出であり
日本でも品薄状態だそうです。
(引用元 フランス紅茶専門店アンシャンテ)
南部鉄器の人気は中国だけではなく
パリのティーサロンで人気になった
ピンクやブルーのカモミールやアラレ
などかわいらしい名前のついた
「南部鉄器カラーポット」も注目されています。
まとめ
南部鉄器が今中国人を初め海外でも
クールジャパンとして人気があります。
中国人に人気がある理由として
①飲料水事情と健康志向
②投機目的のプーアル茶が鉄分により雑味が取れる
③ハンドメイドへの憧れでした。
このことからも日本のインフラ設備が
整っていることや食品の安全性
伝統工芸品に代表されるものづくりの力
や文化は海外に売り込む価値として
十分なものであることが証明できます。
まだまだ埋もれている価値あるものは
南部鉄器以外にもありそうですね。